スマイルカーブ現象に打ち勝つために

ここ数年の日本の電機メーカーの売り上げ低下が問題となっています。さまざまな理由が挙げられますが、ひとつには「スマイルカーブ」の問題があります。

 

スマイルカーブとは、素材や部品、販売やサービスの利益率が高く、組み立てなどの工程の利益が低くなるため、グラフが「スマイル」のような曲線を描くことを指しています。近年、各産業の利益率がスマイルカーブ化してきているという背景があるのです。

 

電機メーカーは組み立て工程にあたるため、スマイルカーブ化に悩んでいるのです。

 

例として、パソコン産業を考えてみましょう。

 

1970年ころまで、パソコンといえば大型コンピューターを指し、IBMなどの大手メーカーが設計から部品製作、組み立てまですべて行なっていました。

 

しかし、1980年代に入るとパソコン市場が急成長したため、IBMは開発速度向上を選択。当時のベンチャー企業マイクロソフトがOSを開発、さらにインテルがCPUを開発するということで役割分担を行います。

 

CPUとOS開発がパソコンと別系統になったわけですが、ウィンドウズとインテルCPUがあれば新興メーカーでもパソコンが製作できるため、爆発的にシェアを伸ばしていきます。

 

こうして、今ではウィンドウズが全体の9割、インテルが8割の圧倒的シェアを獲得するに至りました。そして、パソコンの組み立てを行うメーカーは利益が大幅に減り、IBMはパソコン事業から撤退、その他のメーカーも低収益となってしまっています。

 

この状況は自動車業界にも当てはまる可能性があります。もし一部のメーカーが革命的なバッテリーを開発すると、一気に業界の頂点に立つ可能性があります。

 

その場合、パソコンの例で考えると、他の自動車メーカーはすべて低収益状態となるおそれがあります。そのため、自動車メーカーは自らの製作する自動車に使えるバッテリー技術の開発に力を入れています。